夜にまたおいで、と言われたのは、夏の終わりだ。 「花火を見よう」 そう言って、青年は笑った。 「ここで待ってるからね」 帰り際、いつも袂にいれてくれるあめ玉は、薄荷の香りがする。 青年と同じ香りだ、と、屋敷に戻ってからもなめないで夜を待った。