「かなめ?」 要は、固まってしまった。 口の尖った狐のお面を右目にかけて、こちらを覗きこむ、男の人。 すごいスピードで走ってきたけれど、そう一言聞いたきり首を傾げて微動だにしない。 周りの大人たちが、息を殺してこちらを見ている。 「かなめ?」 澄んだ、男の人だけど綺麗な声。 思わず、要は頷いた。