っていうか、なんで二楷堂は香の事を知ってるの?
それに、王家の血が混じる私があてられるほどの香の持ち主なんて――。


『王子がさらわれて、もう、15年目だからねぇ』

頭に浮かぶのは、おばあちゃんの言葉。


5才でさらわれた王子は……生きていれば、今20才。
まさか――。

信じられない思いで見つめている私に、二楷堂が笑う。
いつもみたいに、明るい笑顔で。

「フェアじゃないから言っておくけど。
俺、ヴァンパイアなんだ。
15年前に失踪した、王家の息子」


目の前が、真っ白になった。

二楷堂が王子って……。
ああ……でも、すっごい納得かも。