『性欲が高まるのと同時に、本能でもある吸血衝動は強くなるって話、覚えてる?』
この行為を始める前に二楷堂が言った言葉……。
アレは、本当だったって事……?
何度もキスして身体が昂ぶらされていたからって事なのかもしれない。
それに、私から望んだもの確かだ。……口先だけじゃなく。
じっくりと時間をかけてキスをした二楷堂が、ゆっくりと離れる。
口も閉じられずにぼんやりと見つめていると、二楷堂はそんな私を見て満足そうに微笑んだ。
「少しは多く持ってけたかな。亜姫が俺を望んでくれたから。
気分はどう?」
いたわるように、私の頬に触れる二楷堂。
その手は、まだ少し冷たかった。
「クラクラする……」
「ツラかったらそのまま眠っても構わないから。
俺が部屋まで運ぶよ」
「……二楷堂の前でなんか、もう寝られない」