魅力的な誘いに思えて、本能のまま手を伸ばしそうになったけど……。
それをぐっと抑えた。

自分から求めたら、もう、後戻りできなくなる。

「欲しく、ない」

目を伏せて言うと、二楷堂はじっと私を見た後笑う。

「言うと思った。
……そんなに頼りない? 俺」
「そんなんじゃなくて……」
「分かってる。亜姫が何かを守ろうと必死だって事も、その為に誰とも関ろうとしないのも。
けど……あまりに一途すぎて、全部取り払いたくなる。
全部白状させて……」
「二楷……」
「無理やりにでも、甘えさせたくなる――」
「に、かいど……、待っ…」

止めようとした両手を、それぞれ壁に押さえつけられる。
そして、そのまま唇を塞がれた。