応急処置だなんて、まるで“しなくちゃいけない義務的なモノ”みたいに聞こえて、なんだか気に入らなかった。
私にしたキスには、治療的な意味だけで、気持ちなんかなかったみたいに聞こえて。

そんな私の気持ちが分かったみたいで、二楷堂はすぐに謝って訂正する。

チラって見上げると嬉しそうに笑う二楷堂がいて、バツが悪くなって目を逸らした。

「……別にどうでもいいけど。私には関係ないし」

友達も、恋人もいらない。
望まない。

そう決めたのは自分で、実際にそうした方がいいって分かってるのに……。

こんなの、やきもちみたいだ。
こんな風にふてくされるとか……まるで。

二楷堂を、好きみたいじゃない――。

「私っ、もう戻る―――」

この場にいられない気持ちになって、抜け出そうとしたのに。
二楷堂は私を逃がさないように、ぐっと距離を縮める。