「それもそっか」って微笑む二楷堂は、誰から見ても……私から見ても。
カッコいいと思う。

公平さには自信が持てるけど、そんな私から見ても、他の人間よりもずば抜けてる。
だからこそ、本当は人間じゃないんじゃないか、なんてバカげた疑問が消えないんだけど。

もしかしたら……同族じゃないか、なんて。

ヴァンパイアだったら、この容姿も聴力も、たまに見せる勘のよさも理由がつく。

だけど……。
ひとつだけ引っかかるのは、二楷堂の雰囲気。

こんなに明るくて純粋な雰囲気を、多分ヴァンパイアは持てないから。

そもそも、ヴァンパイアが容姿端麗なのは、血を吸うためだって言われてる。
息を呑むくらいの美しさで、人間の油断を誘って。
次の瞬間には、首筋に牙を立てるため。

妖艶な独特の雰囲気だって、そのためのひとつ。
人間にはない雰囲気で、人間を惑わせるためだ。