「聞きたい事があるなら答えるから。
本気で好きだって信じて欲しいなら、二楷堂もはぐらかさないでちゃんと答えて。
私に殺されてもいいみたいな事を平気で言うくせに……もう、とぼけるのやめてよ」

悔しく思いながらじっと見ていると、二楷堂はふっと笑って私の頬に手で触れた。

誤魔化されてる感じがして、ちょっとイライラしてたハズなのに。
二楷堂に触れられた途端、そのイライラがどっかに飛んでいく。

代わりに、胸が騒がしく動き始める。

「初めて亜姫と会った時から、亜姫しか目に映らなくなった。
ただ、亜姫しか見えなくて、大事にしたくて……。
会ってすぐにそんな気持ちになるのは、自分でも不思議だったけど」
「……一目惚れだとか、そういう事が言いたいの?」
「一目惚れって片付けられるのは癪だけど、言葉にしなくちゃいけないなら、強力な一目惚れだったって事かもしれないな」

二楷堂の指が、私の顔にかかっている髪を優しくかきあげて、耳にかける。

そこで、本鈴が鳴った。