だけど……。
二楷堂は最初から、私がヴァンパイアだって事を知っていて。
襲われるかもしれないって分かってて、その覚悟の上で、あんな、着火剤になるような言葉を言ってたなら……。
二楷堂は、本気で私の事を――?
「好きだから、好きだからって……なんで私なの?
私、二楷堂に好感持たれるような事、何もしてない」
「答える質問はひとつだけって約束だったハズだけど?」
「……まだ続いてたの? それ。
あれだけ好き好き言っておいて、その理由は言えないなんておかしいと思うけど」
「少しくらい秘密があった方が魅力的かと思って。
その質問に答えたら、亜姫も俺の質問に答えてくれる?」
二楷堂は、あくまでもいつも通りのペースで話す。
それがなんだか気に入らなかった。
私は、こんなに本心むき出しにされてるのに……。
キスした時だって、ヴァンパイアの事を知ってるとか言い出した時だって。
いつだって二楷堂は、余裕で。
私ばっかり、乱されてる。