だから、今。
私の正体がヴァンパイアだって事まで知ってる二楷堂が、どんな返事をするのか……。
それが、怖かった。

伏せていた目を、ゆっくりとあげて、二楷堂を見上げる。
そこには……。

優しく微笑む二楷堂がいた。

「亜姫が聞きたいのは、そんな事?」
「そんな事って……」
「亜姫が怖かったら、好きだなんて言わない。
こんな風に毎日付きまとったりもしてないよ」

あまりにもハッキリと自信満々に言う二楷堂に、首を振る。

二楷堂は、何も分かってない。
分かってたら、こんな風に簡単に近づいたりできないハズだ。

好きでいてくれるのは本当かもしれない。
でも……ヴァンパイアの事を、全然分かっていない。