コンパの誘いも、課題を見せ合う友達も、自慢したくなるような恋人も。
何もいらない。
何も、望まない。
どんなにキズついても我慢する。
だから。
誰も、私に近づかないで。
『亜、姫……っ、ごめん、ね……』
もう、誰も傷つけたくない。
―――１５年前の、あの事件みたいに。
「亜姫、歩くの速いって」
急に腕を掴まれて止まると、はぁって息をついた二楷堂と目が合う。
「あの子は？」
「断わった。亜姫を送りたいからって。
俺、嘘つきにはなりたくないから、送らせてくれる？」
「……断わったって、いつも勝手についてくるくせに」
