「あたり。でも、一度血の味をしめちゃったら、恋愛感情関係なく欲しくなったりするものだけどね」
「美音はって事でしょ。
純粋に、好きな人だけの血を望んでるヴァンパイアだってたくさんいるのは、私だって知ってる」
「まぁ、ヴァンパイアにも色んなタイプがいるって事。
そんな事より、あの男が恋人かどうかの質問に答えてもらってないんだけど」

目の前まで近づいた美音が、私の顎に手をかける。

「亜姫ちゃんが自分から血を吸えるようになったなら、それは私にとっても嬉しい事だもの」
「残念ながら、恋人でも友達でもないから」
「あら、そうなの? でも、あの男は亜姫ちゃんが好きなんでしょ?」
「……よく分からないけど」
「見てれば分かるわよ。
でもあの男、不思議なのよね。
私が亜姫ちゃんにコンタクトをとろうとすると、邪魔するみたいに亜姫ちゃんに近づくから。
たまたまなんだろうけど、この半年、何度も邪魔されちゃった」
「……話はそれだけ? もう、昼休み終わるから行かないとなんだけど」