「ねぇ、最近亜姫ちゃんの周りをうろちょろしてる男って、恋人なの?」
「誰のこと?」
「一人しかいないでしょ。
今まで誰も傍に置かなかったのに、あの男にだけはそれを許してるじゃない。
特別な人って事でしょ?」
「……なんで嬉しそうに聞くの?」
「だって、恋人ができれば亜姫ちゃんだって血を吸えるようになるかもしれないから」

どういう意味だろう。
顔をしかめながら見ていると、美音が無言の問いに答える。

「恋愛してると、気持ちが昂るでしょ? それが吸血衝動に繋がるの。
キスしたいとかセックスしたいとか。
そう思うのと一緒に、吸血衝動も高まっていくものなの。
発情すると衝動も高まる、なんて言ったら、亜姫ちゃんははしたないとか言うかもしれないけど」
「え……」