多分、普通の人間でも十分聞き取れるボリュームだったと思うけど、聞こえない振りをする。
気の強い子だったら、ケンカ売ってんの?!なんて言い返すところかもしれないけど。
相手の子も、私が感情的になって醜態をさらすのを期待してるのかもしれないけど。
『感じわるー』
そう思われたって構わないから、特に何も言わなかった。
むしろ、都合がいい。
だって、大学中の人間が私を嫌ってくれればいいって思ってるくらいなんだから。
『おまえの血は危険だ。
人間に害を与え、最悪のケース、殺害する事もありえる。
極力、人間には近づかないようにしろ。
友人関係や恋人関係を築くなんて、もっての外だ』
そうヴァンパイア協会からも言われてるんだから、嫌われるくらいでちょうといい。
だから、悪い噂やイヤミを言われるたび、キズついたりするのは面倒なだけ。
……なのに。
頭ではそう思ってるのに、毎回性懲りもなく痛む胸に気付いて、キュっと唇を噛んだ。