周りの、軽蔑するような冷たい視線や、心無い言葉。
それをおばあちゃんたちにまで向けられるのがイヤで、10才の時に家を出た。

私の面倒を見ていることで、おばあちゃんたちに迷惑をかけたくなかったから。

それから、高校卒業まで過ごしたのが、美音の家。
そこではあまり不自由はしなかった。

見張り役の美音は意外にも友好的だったし。
私の面倒を見る事で協会側から報酬があるみたいで、美音の両親も私を悪くは扱わなかった。

居心地がいいとは、思えなかったけど。


『亜姫……。亜姫さえよければ、帰ってきていいんだよ?
帰っておいで』

おばあちゃんの優しい声。
いつも、おばあちゃんもおじいちゃんも、私を気遣って大切にしてくれた。

それは離れて暮らすようになった今でも変わらない。
すごくありがたい事だし、素直に嬉しい。