『おまえの母親は、血に狂って人間ひとりを殺した後、自殺を図った』

嘘だと思ったし、何度も反論した。
そんなハズないって。
けど、証拠もなかったし、当時小学生だった私には、なんの力もなくて。

悔しくて悲しくて泣き崩れた私に、ヴァンパイアたちは冷たく言った。

『母親と同じ道を辿る可能性が、おまえにも十分にある。
だから、今日から見張りをつける事にする』


その見張りが、美音だ。

そして、その時告げられた約束が、人間と近づきすぎない事。

『おまえの血は危険だ。
人間に害を与え、最悪のケース、殺害する事もありえる。
極力、人間には近づかないようにしろ。
友人関係や恋人関係を築くなんて、もっての外だ』

まだ6歳の私にとっては、暗示みたいだった。
逆らう事の許されない協会から告げられた言葉は、今も私に深く根をはってる。