なにを知ってるの?
どこまで知ってるの?
なんで知ってるの?
私が、二楷堂を好きって事にも気付いてる……?
疑問は、増えるばかり――。
『亜姫? 元気でやってるの?
まったく、一人暮らしが楽なのは分かるけど、電話くらいよこしなさい』
昼休み、かかってきた電話に出るなり、小言が飛んできた。
久しぶりのおばあちゃんの声と文句が嬉しくて、思わず笑みがこぼれる。
「ごめんね。色々忙しくて。おばあちゃんこそ元気?」
『身体は元気だよ。
おじいちゃんもおばあちゃんも、病気ひとつしてないから』
「身体はって?」
『たったひとりの孫が出て行ったきり連絡もよこさないから寂しい思いを抱えながら毎日過ごしてるわ』
「……ごめんなさい」