「完全に選択を間違えてる……」
「――洗濯?」
びっくりして肩を揺らす。
ゆっくりと隣を見ると、コンロのスイッチを止めながら私を見る、二楷堂の姿があった。
「お湯沸いてるよ」
「え、ああ。ごめん」
やかんを持って、用意してあったカップに注ぐ。
なるべく動揺してるのを隠そうと意識して。
けど、それはすぐに意味をなくした。
二楷堂が、私のすぐ後ろに立ったりするから。
「……今、できるから向こうで待ってて」
「じゃあここで待ってるよ」
「二楷……こぼれる……っ」
後ろから抱き締めるみたいに、お腹の辺りに手を回してきた二楷堂を止める。
「そうだね。ヤケドでもしたら大変だ」
そう言った二楷堂が、クスって笑いながら、私の手からやかんをとりあげる。