ふたつのカップにコーヒーの粉末を入れたところで、さっきまで考えていた事をもう一度考え直してみる。

こんなにも気になるのは、もしも本当にキスだけで吸血欲求が収まるのであれば、そんな朗報ないからだ。
血を吸うのが大好きでしょうがないっていう、美音みたいなヴァンパイアもいるけど、私は違う。
できれば……できる限りは、血を吸ったりしたくない。

だから、キスでどうにかなるなら……なんて、希望を持たずには入られない。

でも、今の状態じゃまだ決定付ける証拠が足りない。
二楷堂としただけだし。

でも……キスって。
正気になって考えてみると、ありえない。

いくら精気を吸うためだとしても、そうポンポンするには抵抗がかなりあるし……性格上、無理な気がする。
美音だったら挨拶みたいに簡単にするんだろうけど、私はそういうタイプじゃないし。

それどころか、人付き合いだって避けてきたんだから、手だって握った事すらないし。
けど、誰かを傷つけて血を吸うくらいだったら……。