「二楷堂は、昨日あの後、体調が悪くなったりしなかった?
今、だるかったりしない?」
「俺? だって俺は別に体調崩してないし。
むしろ、亜姫が俺を待っててくれてるって思うと、身体が軽かったけど」

顔色を見ても普通だし、二楷堂が嘘をついてるようにも見えないから、そうなんだと思う。

「……コーヒーでよければ入れるけど」

時計が指しているのは、7時18分。
ここから大学までは、電車で4駅あるけど、8時半にここを出れば十分間に合う。

昨日迷惑かけちゃったし、コーヒーくらいでお礼になるとも思わないけど、一応。
そう思ってチラっと見上げると、二楷堂が嬉しそうに微笑んだ。

コーヒーを入れるために、コンロにやかんをかける。
少しの量だしすぐ沸くだろうから、インスタントコーヒーをカップに入れながら、お湯が沸くのを待つ事にした。

二楷堂にはソファに座ってもらってる。

私がいる位置からだと壁が邪魔して二楷堂が今何してるのかは見えないけど……。
二楷堂はその辺紳士だから、変な事はしないだろうし。