そんなヴァンパイア特有の容姿と雰囲気を利用して、美音は週に1度は男を惑わし血を吸っている。

本来、現代のヴァンパイアに必要な血は、個人差はあるけど月に1度吸えば十分なほどに進歩しているのに。

「何度断われば気がすむの? 私には必要ない」
「そうね。今回は顔色がいいもの。
2週間前にきた時は死にそうな顔してたから、今回は絶対に一緒にくるかと思ってたのに……。
どうしたの?」

ヴァンパイアの瞳は嫌いだ。
すべてを見透かされている気にさせられるから。

だから私は、自分の瞳も好きじゃない。
鏡に映る自分を見ても、同じヴァンパイアなんだって、自覚させられるだけだから。

「別になにもない」

二楷堂との事は話したくなくて、目を逸らす。
そんな私を見て、美音はクスっと笑った。

「もしかして、誰か殺しちゃった?」

カっと頭に血がのぼる。
睨んだけど、今度は美音も冗談で済まそうとはしなかった。