溢れそう、なんて感想はおかしいけど……でも、そんな感じだ。

「……っ」

キスを続けてるうちに、意識が遠のいていくのが分かった。
だけど、今の私には、二楷堂を止めるなんて選択肢はなくて。

本能のまま、二楷堂のキスに応えて……気付いたら二楷堂を抱き締め返していた。
だんだんと気が遠くなる。

「あ……、に、かい…ど……、」

呼ぶと、二楷堂が少し微笑んだのが、唇の動きで分かった。
私を抱き寄せていた腕の力が、少し強くなる。

その強さを心地よく思う自分に戸惑いながらも、少しだけ目を開ける。
かすむ視界の中、私の視線に気付いた二楷堂が嬉しそうに微笑んで……目を閉じて、キスを続けた。

電車の中でこんなキスするとか、絶対におかしいのに。
そんな風に嬉しそうにされたら、許したくなっちゃう……。

働かない頭でそんな事を考えていた時。
視界も思考も、プツリって遮断された。