「一応、協会にもチャンスを与えようと思って、二ヶ月前に手紙を送ったんだ。
15年前の王子誘拐事件について、真実をヴァンパイア界に告げなければこちらにも考えがあるってね」
二ヶ月前だったら、もう二楷堂と私は知り合ってたハズだ。
あの頃から動き出してたなんて……。
驚きながらも、隠されていた事に少し腹が立つ。
「強行手段に出てヴァンパイア界を危険に晒す前に真実を明らかにするか……。
それともヴァンパイア界を危険に晒してまで真実を隠して保身に走るのか。
結果は……分かる通り後者だ。
一ヶ月様子を見て動きがないのを確認して、宣戦布告をしたんだ」
「ハンター側からの手紙が届いた頃から、協会はかなり慌てて騒いでたわ。
だから紅月様のところにもすんなりもぐり込めたの」
そう笑う美音にひとつの疑問が浮かぶ。
美音の話を聞いてからずっと気になっていた事だ。
「美音は、なんでそこまでして私をハンターと結婚させたくなかったの?」
そこまでして阻止したって、美音には何の得もないハズだ。
むしろ、危険を冒してまでする事じゃない。
なのになんで……。