「受け取った薬から、タブレットを開発したの?」
「そう。ただ、俺は覚醒する前から飲んでたから効果が出てるけど、覚醒したヴァンパイアにはどうかはまだ分からないし実験次第だけどね」
「あ、だから私にくれなかったの?」

ツラいのが分かってるなら、キスだとか言う前にタブレットをくれればいいのにと思っていたけれど、そういう理由があってなのかと納得して聞き返したけれど……。
二楷堂は笑ってそれを否定する。

「まぁ、それもあるけど、ああでもしないと亜姫から求めてくれないからって理由の方が大きいかな」

ポカンとして呆れてから睨みつけると、「もちろん実験前の危険な薬を飲ませるわけにもいかないっていうのも理由のひとつだよ」と付け足される。

何が本当かは分からないけど、実験前って事なら、危険だっていうのも事実なんだろう。

「でも、凶暴化して捕まえたヴァンパイアを実験台にして色々試していたから、覚醒したヴァンパイアにも有効な薬が完成しつつあるんだ。
このあいだ亜姫を襲ったヴァンパイアも、今は理性を取り戻してハンターの監視する施設の中で実験に協力してくれてるよ」
「そうだったの……」