「協会が亜姫に見張りを置いたのは、亜姫がお母さんの死について疑問を持っていたからだ。
亜姫が単独で動いて事実を調べたりしないようにって事だったんだろう」
「そうだったの……」
呟くように言って、ため息を落とす。
お母さんが死んでしまった事には変わりないし、それはとても悲しいけれど……少し気持ちが救われた。
血の色に染まってしまったお母さんの世界に、お父さんの存在がほんの少し光を差してくれていたのかもしれないと思ったから。
お父さんの愛を感じながら亡くなれたなら……。
だからと言って悲しみやツラさがどこかに消えるわけではないけれど、本当に少し救われるものはあったのかもしれない。
「よかったとは言えないけど……ちょっと安心した。
本当の事を教えてくれてありがとう」
見上げて言うと、二楷堂も安心したように微笑んだ。
私がどんな反応をするのかをずっと心配してくれていた事が分かって、温かい気持ちが身体の中を包んでいく。
心配しながらも真実を話してくれた二楷堂に、大丈夫だと伝えたくて微笑み返した。