「15年は時効が成立しないって事はハンター側も知っていたから、その中で一番いい方法を探し出そうって話になって……次の年、事件が起きたんだ。
亜姫のお母さんの事件だ」
「その時既にハンター側にいたから真実を知ってたの……?」
「そう。始まりは亜姫のお父さんからの一本の電話だった。
渡したいものがあるから至急誰かを向かわせてくれって。
それが、亜姫のお母さんの遺体が発見された建物だった」
初めて知る真実にじっと見つめて続きを待つ私を、二楷堂が真剣な顔で見つめる。
注意深く見つめる瞳は、聞いても私が平常心でいられるかどうかを少し心配しているみたいだった。
「行った時にいたのは、ツラくて言葉も発せなくなった亜姫のお母さんとハンターのお父さんで、お父さんが駆け付けたハンターにある薬を手渡したんだ」
「薬……?」
「それが、吸血衝動を覚醒させる薬だった。
亜姫のお母さんが自分に使われた薬に気づいた後、それを持ち出してきたらしい。
どうにかして平和な世界にするために、ヴァンパイア界をまともにするために、ハンター側で役立ててほしいという思いから」
「その時……ハンターは……お父さんは、無事だったの?」
「ああ。襲われた跡はどこにもなかったって聞いてる」
「じゃあお父さんは……お母さんと一緒に死ぬ事を自らの意思で望んだの……?」