「両親の話を聞いていたから、ハンターがどれだけ重要な役割なのかは知っていた。
人間とヴァンパイアが仲良く手をとったって、血に狂うヴァンパイアは必ず出てくるから、それを取り締まる機関は絶対に必要になる。
だけど、協会が邪魔をしてハンターとの接触を許さないって話を聞いていたから、今ハンターと情報交換ができるのはチャンスだと思ったんだ」
「情報交換して何を話したの?」
「協会が暴走して邪魔をしているけど、王家としてはハンターと協力して人間と平和に共存する気がある事を話した。
五歳だったし、みんなで仲良くしたいだとかそんな言葉だったろうけどね。
それでも両親が亡くなった今、五歳でも俺がヴァンパイア界のトップには違いなかったから、ハンター側も真面目に聞き入れて喜んでくれたよ」
「ハンター側の意見も同じだったって事?」
「ああ。昔からヴァンパイア界にはハンターがヴァンパイアを全滅させたがってるだとか、噂が流れてたけれど、実際はそんな事はなかった。
恐らく、協会がハンターを悪役に仕立てたいがために流したデマだったんだろう。
本当にどこまでも愚かで情けないけど」
二楷堂がきつい視線を送ったけれど、会長は俯いたままこちらを見ようとはしなかった。
険しく歪んだ顔に、汗が流れていた。