けど、私には……それができない。
軽い気持ちで人間に牙を立てたら……。
きっと、止められなくなるから。
私には、そういう血が流れてるらしいから。
人間と普通に仲良くする事を弾三者から禁じられるほど、凶暴な血が。
だから本当なら、二楷堂との今の関係は違反だし、すごくまず――。
そこまで考えた時、目の前がグラついた。
……しまった。
“血”なんて意識したせいで、ヴァンパイアの血がそれを欲っして呼吸が荒くなる。
私は欲しくなんかないのに……。
身体の中に自分も知らない怪物でも住んでるみたいだ。
それが、勝手に身体を支配して……世界が、血で染まっていく。
自分が、自分じゃなくなっていく。
身体が血を求めるたびに、そんな恐怖が私を支配する。
――自分がヴァンパイアの血に飲み込まれて、血だけを求める凶器になるんじゃないかって。