あんな凶暴化したヴァンパイアを仕向けられるなんて、よほど憎まれてる証拠だ。
お目付け役として常に私を見張っていないといけない事で迷惑はかけたかもしれないけれど、殺したいほどだとは思っていなかった。
そう告げると、美音はまさかと笑った。
「ずっと言ってるじゃない。亜姫ちゃんが好きだって」
「じゃあなんで……」
「本当に危なくなったら助けに入るつもりで近くにいたの。
でも、予想通りその必要はなかったけどね。あの男が現れたから」
見られてたのか……。昨日の事件全部を。
あれを見ていたら、二楷堂が普通の人間じゃないって事はもうバレてる。
どのくらいの距離にいたのかは分からないけれど、もし威圧の気を感じていたら。
二楷堂が普通の位のヴァンパイア以上だって事も気付かれてる……。
どう言い訳すればいいだろう。
上手い嘘が思いつかない。
黙っている私をじっと見た美音が、呆れたようにため息をついた。
「やっぱりね。普通の男じゃないと思ってたのよ。気配もおかしいし。
――あの男、ハンターでしょ」