翌日の朝、二楷堂は大学の準備をしに一度家に戻った。
また迎えに来るから一緒に大学に行こうと言って。
それが10分前の事だ。
ぐっすり寝たけれどまだ身体に少しのけだるさが残る中、シャワーを浴びて身支度を整える。
昨日二楷堂に抱かれたおかげで身体は今までないほどに満ち足りていた。
だるさはあるけれど、悪い気分じゃない。
鏡の中の自分が幸せそうな顔をしている事に気づいて、なんとなく気まずくなってそこから移動する。
そして、閉めたままだったカーテンを開けて……背後の気配に気づいた。
美音だ。
「あの男、普通じゃないわね。何者?」
開口一番、私が触れて欲しくない話題を出した美音を振り返る。
黒いワンピースを着た姿に違和感を覚えた。
丈は膝上ではあるけれど、いつも美音が来ている服に比べたらだいぶ長めだ。
「その格好、どうしたの?」
「今日は協会に行くから」
「……何をしに?」