「長かった? 亜姫が初めてだからそこは気を使ったけど、普通だと思うけど」
「普通……? あれが普通なの?」
少なくとも二時間弱はそうしてたのに?
信じられない思いで聞き返すと、二楷堂が笑う。
「亜姫はまだ慣れてないからそう感じるだけだよ。
ヴァンパイアの性欲は人間より強いらしいからね。でもその分強く作られてるから」
「……普通のヴァンパイアより王家のヴァンパイアの方が強いとかもあるの?」
「どうだろ」と意味深に微笑む二楷堂に、やっぱりそうなのかと顔をしかめる。
「やっぱり。普通じゃないと思った」
「世間一般だとかヴァンパイア界での平均は知らないけど、亜姫にとってはこれが普通だよ。
これからも俺としかしないんだから」
妖美に微笑む二楷堂が、私の頬に触れそのまま耳のあたりから髪をなであげる。
それだけでまだ余韻の残る身体はぞくぞくして震えた。
身体全部が彼を好きだと叫んでいるみたいだった。
触れられた場所から、キスされた場所から。
二楷堂への想いが溢れて止まらない。