少なくとも私はそうだ。
きっと、トロトロに溶かされた頭でなくちゃ、理性や色んな心配事が邪魔して素直な気持ちなんて言葉にできない。

今言わなければきっと、もう言えない。

「好き……。二楷堂が、好き……っ」

嬉しそうに細められた瞳に同じように笑顔が返せたかは分からなかった。
直後、二楷堂の作り出す快感に襲われて何がなんだか分からなくなってしまったから。

「亜姫……っ、好きだ……」

キスとともに何度も耳元でささやかれた言葉だけが頭の中で響いていた。




「ごめん、無理させた?」

目を開けてぼんやりとしていると、そう声をかけられる。
やっとの事で焦点を定める事に成功した私の瞳がとらえたのは、私と同じように横になる二楷堂の心配そうな顔だった。

情事の雰囲気がたっぷりと残っているからか、けだるい気持ちにさせられる。
気持ちというか、だるいのは身体的な部分も大きいと思うけれど。