「どうかした? 亜姫」
「そんな全部触らなくてもいいでしょ……」
「亜姫はね。でも俺は全部触りたいしキスしたい」
「やめ……んっ、……んん」

二楷堂が妖美に覗かせた舌に身体をなぞられて、びりびりした感覚が頭まで走り抜ける。
身体を震わせる私に二楷堂は満足そうに微笑んで……それから私と視線の高さを合わせた。

さっきまでは笑みすらも浮かべていた瞳が、今は真剣そのもので、もう高鳴りようがないくらい速いテンポで動いている心臓がまた少し加速する。

「亜姫、俺の事好き?」

真剣な眼差しを見つめ返して、そこに余裕がない事に気づく。

「好きだよな」
「に、かいど……」
「好きって言え――」

下される甘い命令。

ベッドの上で好きだとか愛してるとか言うのはどこか嘘くさいと思った事があるけれど……それは違っていたのかもしれない。
ベッドの上だからこそ素直になれる想いがあるのかもしれない。