甘いマスクと、明るくて誠実な雰囲気。
魅力的な低い声と、180近い、高い身長。

大学内の女の子が放っておかない要素ばかりを持ち合わせてるのを、二楷堂も自分で分かってる。
それでいてイヤミじゃないのが、また人気を上げる原因になってる。

「じゃあお姫様をその辺で探してきて。
私はそんな柄じゃないし、興味もないから」
「女の子をその気にさせるのは男の役割だから。
亜姫は何も心配しないで、俺の隣にいればそれでいいよ。
面倒な事は全部俺が引き受けるから」

にっこりと微笑まれて、ため息をついた。

「本当にしつこい」

半年間、“付き合う気はない”って事を、色んな言葉で伝え続けてきたのに、ちっともへこたれない。
今までは、“あなたに興味がないし、これからも持てない”って事を冷たく言えば、どんな男だって引いていったのに。

二楷堂は、断わるたびに“わかった”とか笑顔で納得するくせに、翌日になるとそれを忘れたみたいにくっついてくる始末で。
それを何十回って繰り返しながら今日を迎えてる。