「読めば分かるでしょ」
今は隠そうとしていないし、二楷堂になら手にとるように私の気持ちが分かるハズだ。
だからそう言うと、二楷堂が微笑む。
「言葉にして欲しいって言ったのに。
まぁでも、亜姫の気持ちは分かった。ありがとう」
そうお礼を言った後、二楷堂が続ける。
「でも亜姫は俺を頼ってくれていないよ」
「……血を飲まないからって事?」
「さっきも話したけど、亜姫は無意識に自分を抑えられるくらい自制が効いてる。
人の血を飲むのが怖いのは分かるけど、このままだと亜姫がどんどん体調を崩すだけだろ。
俺なら他のやつよりも強……」
「簡単に言わないで……っ!
私が……今までどんな気持ちだったか知らないくせに……っ」
自然と大きく感情的になる声。
二楷堂が悪いんじゃない。
こんなの、八つ当たりだ。
そう思ったから謝ろうと思ったのに。
二楷堂は興奮してる私を、そっと抱き締めた。