「お母さんが亡くなった時、亜姫はまだ6歳だった。
ずっと頑なに信じ続けるには、お母さんと過ごした時間が足りなかったんだよ。
不安になって自信がなくなって当たり前だ」
「……ううん。違う。
私が、弱かっただけ」
「違うよ。亜姫は弱くなんかない。
ずっとひとりで頑張ってきたんだから、弱いわけないだろ」
二楷堂は多分、ただ単になぐさめようとしてるんじゃなくて、本当にそう思ってくれてるんだと思う。
二楷堂は、美音みたいに、どこか私を美化してるところがあるから。
本当の私は……強くもキレイでもないのに。
二楷堂と美音が抱いてるイメージがあまりに本当の自分と違うから、考えてるうちに呆れ笑いがもれた。
「二楷堂は、私を過大評価しすぎなんだよ。
私が今までひとりで生きてきたのは……お母さんを信じ切れなかった、弱い自分のせい」
強いからひとりでいたわけじゃない。
その逆だ。