お母さんが急に姿を消して、その翌日、火事で亡くなっていた事。
その時、誰か男の人と一緒だった事。
その男の人は、血に狂ったお母さんが襲って殺した人間だって、協会から聞かされた事。
私には、お母さんと同じ、人殺しの血が流れていて危険らしいって事と……。
そのため、他人との必要以上の関りを禁止させられてる事。
淡々と、でも時々泣きそうになりながら説明する私の隣で、二楷堂はずっと手を握ってた。
冷たい手から伝わってくる優しさが余計に涙を誘うから、それがバレないようにずっと俯いたまま話してた。
長くて……すごく安心できる時間だった。
「お母さんが、本当に血に狂ったのかどうかは分からない。
もちろん、最初はそんなの信じてなかった。
お母さんはそんな人じゃなかったから。でも……」
「協会や周りに言われ続けて、不安になった?」
「……うん」
二楷堂は、覇気のない返事をした私を気にしたのか、握った手に力をこめた。