「二楷堂は知らないかもしれないけど……。
美音は私の監視役で、協会にも繋がってるヴァンパイアなの。
その美音が、二楷堂の事気にし始めてる。
バレた時まずいのは二楷堂なんだから、もっと……」

“気をつけて”
そう繋げようとした言葉を切ったのは、二楷堂の手。
ベッドの上に置いていた私の手を上から握るから、身体がすくんだ。

「協会にバレるよりも、亜姫の方が心配だったから。
亜姫も分かってるだろ? 王家の血がどれだけヴァンパイアをひきつけるかを。
その証拠に、俺の首に牙を立てようとしない。
もしも自分が俺の血を吸い尽くしたらって事を心配して」
「知ってたの……?」

驚いて聞く。
いくら気持ちが読めるって言っても、そこまで……?

二楷堂は微笑みながら頷いた。

「読んだわけじゃないけどね。
亜姫の性格からしてそうじゃないかって思っただけ。
それより、“監視役”ってどういう意味?」

一瞬、言葉を迷った。
過去の話は簡単に説明できる事じゃないし、誰にもするつもりもなかった。

けど、相手は二楷堂だ。
隠してもムダなだけ、そう思って目を伏せる。