美音も分かっているのか、なんとか耐え忍んでる。
その様子を見ながら身体を引いて、美音の下から抜け出した時。
カチャ……と、鍵の開く音がした。
それに気付いた美音が、ふらっと立ち上がって窓を開ける。
「美音……」
「大丈夫よ……。その辺の男狩ってやりすごすから。
心配しないで。いつも通り上手くやるわ」
それだけ言って、チラっと玄関のドアの方を見た美音。
それにつられるように振り向いた私の目に映ったのは……二楷堂の姿だった。
――まずい。
瞬間的にそう思って窓を見たけど……美音の姿はもうなかった。
玄関の鍵を閉めた二楷堂が、部屋に上がってベッドに近づく。
二楷堂が腰を下ろすと、ベッドが軋んだ。
「勝手に入ってくるなんて、何考えてるの?
美音が部屋にいる事、二楷堂には分かってたんでしょ?」
睨んで言うと、二楷堂が微笑む。
「分かってたから入ってきたんだけど。
あの子が亜姫に襲いかかったりしたら困るからね」