「……っ!?」
勢いよく倒れこんだせいで、ベッドのスプリングが軋む。
背中にはベッド、見上げる先には……妖気を全開にした美音。
「……なんの冗談?」
「それはこっちのセリフ。
亜姫ちゃん、大学でどんな悪いお友達と一緒にいるの?
そんな悪女みたいな考え方、亜姫ちゃんには似合わないわ」
「悪女って……美音に言われたくないけど」
「私はいいの。そうやって汚れて生きてきたんだから。
でも、亜姫ちゃんはキレイなままでいて欲しかったのに……」
美音は、ふぅっとため息をつきながら、指先で私の輪郭のラインをなぞる。
冷たい指と見た事のない美音の真面目な顔が、少しの恐怖を感じさせた。
「勝手なイメージ持たれても困るんだけど。
それに、美音と一緒にいた時だって血は吸ってたじゃない」
「私の後処理としてね。
優しくて真面目な亜姫ちゃんは、人間とヴァンパイアが上手く共存するために、任務として吸血行為をしてたの」