しかも、ほんの少しではあるけど、王家の血を継ぐ私が満たされる相手は、自分よりも階級が上のヴァンパイア。
うかつな発言をしたら、美音の中で“二楷堂=王家”の式が成り立ってしまう。

協会と繋がりのある美音に知られたら……絶対にマズい。

「血を、もらってるの」

色々考えてたせいでできた、変な間。
緊張を悟られないように、目を伏せながら言う。

「言い寄ってきたし、ちょうどいいかなって思って。
美音に頼ろうとも考えたけど、ずっとそうやって過ごしていくわけにもいかないし。
私だって、ちゃんと独立しなくちゃでしょ?
そんな事考えてた時に声かけてきたのが二楷堂ってわけ」

この嘘が通じるものかどうかは自分じゃ判断できなかった。
目の前まできた美音がどんな顔をしてるのか、見る事ができない。

部屋に、沈黙が広がっていく。

緊張しながらも見上げようとした時。
グっと肩を押された。