好きなら当たり前の事かもしれないけど……でも、ダメだ。
私が必要以上に二楷堂に関ったりしたら、協会に報告がいくかもしれない。
協会が二楷堂の存在に気付いたりしたら問題だ。
美音は、二楷堂が勝手に言い寄ってきてるって思ってるから、これからもそういう事にしておかないと。
どっちみち、二楷堂の気持ちに応える事なんかできないんだから、それでいい。
「二楷堂、美音は大丈夫だから、美音が私に接触しようとした時に邪魔するのはもうやめて」
「なんで?」
「美音は、協会と関係してるから。
二楷堂があまり邪魔に入ると、美音が二楷堂の事を調べたりするかもしれない。
今、協会に報告されるのは、二楷堂にとってもマズイんでしょ?」
無事なのに協会に報告もしないでヴァンパイア界にも戻ってない現状を見ると、何か事情があるとしか思えない。
話してくれないから、“事情”がなんなのかは分からないけど。
返事がなかなか返ってこないから不思議に思って見上げると、二楷堂は私を見て微笑んでいた。