「亜姫に誰かが近づくのは、あまりおもしろくない。
それが、狂ったヴァンパイアでも、ただの人間でも」
「……二楷堂が本当にヴァンパイアの王家の血を引いてるなら、例え狂ったヴァンパイアがまとまって襲ってきてもどうにでもできるでしょ」
「実力行使は最後の手段だと思ってるから。
そうなる前に、危険な根はつんでおくのがベストって思ってる」
「まぁ、その方が確実だけど……なんか意外」
「コツコツ積み上げていかないと、いざっていう時何もできないしね。
見てくれだけの力じゃ、誰の助けにもならないから」
ふっと笑って、目を伏せた二楷堂。
今の言葉も表情も、過去に何かあったって事を教えてる気がした。
もしかしたら、二楷堂も何かキズを負ってるのかもしれない。
そう思った途端、二楷堂のために何かできないかを探し始める自分に気付いてイヤになった。
自分から関る事はしないって決めてるのに、二楷堂の事を知りたいって思い始めてる。