自分の血を、自分でも信じられない。
二楷堂に惹かれれば惹かれるほど、自分が信じられないって気持ちが強くなる。
だったら、二楷堂を危険な目に遭わせないためには、言うべきじゃない。
言っちゃダメだ。
協会なんて関係ない。
これは……私の意思だ。
「明日はカフェで食べよう。
さっき見たら、明日のAランチ、オムライスだって書いてあった。
ホワイトソースがかかったオムライス、亜姫好きだから」
「……そんな事一言も言ってないけど」
「俺は、亜姫が思ってる以上に亜姫を見てるから。
……隠したって、何でも分かるよ」
隣を見れば、極上の微笑みを向ける二楷堂。
『隠したって、何でも分かるよ』
それが、どこまでを指しているんだかは分からないけど……。
こんな魅惑的な男に想いを寄せられながら、本当は自分も好きなのに冷たくするなんて。
自分で決めた事とは言え……まるで、拷問だ。