キスだってした事あるし、それ以上の事だって……少ししたのに。
野菜ジュースとメロンパンを交換したってだけで、舞い上がりそうな自分がいて。
気持ちに気付いた途端、急に正直になる心が嫌になる。
こんな風に欲しくなっちゃうのが嫌だから、誰が相手でも壁を作ってきたのに。
二楷堂は、私が作った壁を簡単に乗り越えて近づくから困る。
だって、入り込まれちゃったら……どうすればいいのか分からないから。
追い出し方を知らないから。
毎日顔を合わせるから、フタをしたってすぐに外されちゃう、気付いたばかりの恋心。
ヴァンパイアとしても男としても、最高の魅力を持つ二楷堂相手に。
しかも……多分、私の気持ちなんて二楷堂からしたらお見通しなのに。
それでも、隠し通さなくちゃいけない。
そう思うのはもう、協会との掟があるからっていう理由だけじゃなかった。