「二楷堂といると調子が狂ってばっかりで嫌になる」

八つ当たりみたいに言うと、二楷堂はなんでだか満足そうに微笑んだ。
それから、さっき購買で買ってた野菜ジュースを私に差し出す。

「食欲ないなら、それだけでも飲んでおいた方がいいよ」
「でもこれ、二楷堂が買ったヤツでしょ」
「亜姫が体調崩すと俺も心配だし。
まぁ、その時は俺がどんな事してでも治してあげるけどね」
「やめて。そういう事をすぐ言うから調子が狂うんだってば」

顔が赤くなってるのがバレないように、二楷堂の手から野菜ジュースを抜き取る。

「もらっておく。……ありがと」
「どういたしまして。
代わりに俺はコレもらうよ」

そう言って手にしたのは、私の食べかけのメロンパン。

間接キスとか、何も考えないのかな、二楷堂は。
……そんな心配、今さらかもしれないけど。

自分の食べかけを口にされるのが恥ずかしくて見ていられなくて、野菜ジュースにストローをさして飲む。