だから目を合わせられずにいると、二楷堂は少し私を見てから、また溝口くんたちの方を向いた。
私はもう用もないし、購買に行こうかと思うのに……。
二楷堂がそれを止めるみたいに、私の腕を掴む。
「俺は、亜姫以外の女には興味ない。
“他の女子”にもそう伝えとけ」
二楷堂の口調が少し厳しくなる。
ここからじゃ顔は見えないけど、いつもは穏やかな雰囲気がなくなっていた。
変わりに感じるのは、威圧感。
私でも言葉を呑むくらいなんだから、直接それを感じてる溝口くんたちは息を呑むくらいだと思う。
「それと、今度バカな真似したら許さない。
――それだけ言っておくよ」
最後は、いつも通り柔らかい口調で言ったけど……。
溝口くんたちは返事もできないみたいだった。
「亜姫が購買にするなら俺もそうする。
行こう」
怯えきってる溝口くんたちをバックに、振り向いた二楷堂が笑顔で言った。