いつの間にか隣にいて、いつでも傍にいてくれた二楷堂。

認めたらダメだと思ってたけど……気付いたら、その存在が嬉しくなってた。
二楷堂のいない空間を、寂しく思うようになってた。

それは多分、王家の血に引き寄せられたからじゃない。
私は、二楷堂に会ったあの時からずっと――。


「私は……恋愛しないから」

二楷堂に、恋してる。

けど……。

誰とも必要以上に関らないのが、ヴァンパイア協会が下した、私への十字架。
それがヴァンパイア相手でも同じ事だ。

ただのヴァンパイアならまだしも、二楷堂は王家の血筋を引くヴァンパイア。

二楷堂の首に牙を立てたら最後、王家の血に誘われるまま、私は二楷堂を死においやる可能性があるんだから。

今までは、ただ漠然と誰かをキズつけたくないって思ってきた。
けど、二楷堂を好きになって、想像の中の相手が特定できた途端、自分の身体に流れる血が今まで以上に恐ろしくなった。

血に狂ったりしたら、私が二楷堂を……。