「でも、顔が赤いよ。脈だってこんなに速い……」
「全部、二楷堂の血のせいでしょ」
耳の辺りに手を伸ばした二楷堂が、脈に触れながら言う。
それを手で払うと、二楷堂は困り顔で微笑んだ。
「血か……。
キスに応えたりしたのは全部血のせいで、俺の事は少しも好きじゃないって事?」
二楷堂は微笑んでたけど……その顔が悲しそうに見えて、すぐに答えられなかった。
自分自身、王家の血にどれだけ惑わされてるのかは分からない。
魅力的に感じて引き寄せられるっていうのが本当なら、キスを受け入れたりしたのも、そのせいなのかもしれない。
けど……それだけだとは思えなかった。
確かに、逆らえない何かをずっと感じてた。
でも、それに甘えて二楷堂に手を伸ばしたのは……私だ。
初めて見た時から感じてたのは、甘い鼓動。
それをずっと感じながら、二楷堂の少しだけ強引な優しさを、逃げ場をなくされたキスを、私は待ってたんだ。
逆らえないせい、そう理由をつけて……心の底では望んでた。
全部を受け入れてくれる二楷堂に甘えて。