「今日の大学での事を言ってるなら謝らないよ。
好きな子が自分にどうやったらなびいてくれるかを考えたり、その方法を見つけて実行するのは悪い事じゃないし」
「……二楷堂の場合は、他の人と比べものにならないし、血がどうこうって話じゃ私はどうする事もできないじゃない」
「うん。だから、どうこうしようとか考えないように」

有無を言わさぬ笑顔。
目の前まで来た二楷堂をチラっと見てから、目を逸らす。

「言ってるそばからこういう雰囲気作らないで」
「どういう雰囲気?」

ふっと微笑みながら目線を合わせる二楷堂は、絶対に分かってて私をからかってる。

「だから、逆らえないような、甘い雰囲気!」
「俺は別に意識してないから、自然と出てるのか……それか、亜姫の気持ちの問題だと思うけど」

私の気持ちの問題……?
甘い雰囲気になってるのは、私が二楷堂に対してそういう気持ちを抱いてるからって事……?

「うぬぼれないで」

睨んで言っても、二楷堂は余裕に微笑むだけ。